アノテーションとは?種類・活用例・注意点を解説
AIの知識
こんにちは!
ネットワーク監視カメラとAI画像認識システムのシステム・ケイです。
AIの開発には様々な工程がありますが、今回はその中の「アノテーション」について解説していきます。アノテーションは、AI開発において欠かせない工程です。アノテーションの種類や、注意点などを見ていきましょう。
アノテーションとは
アノテーションとは、「注釈」または「注釈をつけること」を指す英単語です。
プログラミング言語の“Java”や、身近なものだと“Youtube”でもアノテーションという機能があり、どちらも注釈をつける機能として存在しています。
AI・機械学習の分野におけるアノテーション
AI・機械学習においてのアノテーションとは、画像や動画、音声、テキストのデータに対してタグを付ける工程のことを指します。機械学習の一つである、教師あり学習で行われる工程がアノテーションであり、この工程を済ませたデータを“教師データ”と呼びます。
教師データを使用した機械学習のしくみ
アノテーションを行った教師データは、AIに読み込ませてタグ付けされているものかどうかを判別するための材料にします。
例えば、画像の中で車が写っている部分をタグ付けし、これを教師データとしてAIに読み込ませます。するとAIはタグ付けされた部分が車だと学習します。
このように学習を重ねたAIは、タグ付けされていない画像を読み込ませても、AI自身が画像を判別し、車がある部分を認識することができます。これが教師データを用いた教師あり学習の仕組みとなっています。
アノテーションの種類
アノテーションはデータの形態によって、いくつかの種類があり、主に、画像・動画のアノテーション、音声のアノテーション、テキストのアノテーションに分かれます。
中でも画像・動画のアノテーションについては、3種類のアノテーションの方法があります。
画像・動画データ
物体の検出
画像の中にある対象物を四角で囲み、囲んだものが何なのかタグを付けていくアノテーションです。
この方法でアノテーションを行うと、画像の中に写っている対象物がどこにあるのかを、AIが検出することが可能となります。
領域の検出
画像に写っているものをピクセル単位で仕分けし、それぞれの領域が何を表しているかタグ付けするアノテーションです。
この方法を使えば、精度の高い学習をAIに施すことができます。しかし、ピクセル単位で仕分けをするのでアノテーションの作業量も増えてしまいます。
画像の分類
画像そのものが何を写しているのかを分類し、カテゴリー分けするアノテーションです。
今までの2つとは違い、画像の内容の一部分ではなく画像そのものに対して注釈をつけていくものになります。
音声データ
音声のアノテーションでは、特定の音の種類や音声の意味などに対して注釈を付けていきます。
人の会話の内容をテキストに変換し、会話中に登場した単語の意味に対してタグ付けをしたりするなどの方法があります。会議の議事録やコールセンターでの通話内容に対してアノテーションを行うことが多く、「パソコン」や「キーボード」などの名詞から「あのー」や「えっと」などの感嘆詞にもタグ付けをします。
テキストデータ
テキストデータのアノテーションでは、事前に決めたルールを元にテキストの文章や段落にタグ付けをしていきます。
このアノテーションを行うと、テキストデータをカテゴリーごとに分別したり、特定の文章を抽出したり、様々な場所に点在するデータから必要なテキストなどを集約させることが可能となります。
アノテーションによってどんなAIが作られる?
AIは、アノテーションによってできた教師データを使い学習し、様々な分野のシステムに使われています。
カメラに映る人間や車両をAIが判別し、行動の管理を行ったり、製造品に関するチェック、顧客の動向調査など作られるAIの種類は多岐に渡ります。
車両ナンバー認識システム
車両ナンバー認識システムは、特にコインパーキングや駐車場内の入退場管理で利用されています。
このシステムでは、車両のナンバープレートをカメラで撮影し、その画像を解析してテキストデータに変換します。アノテーションによって育てられたAIを活用することで、画像の中でナンバープレートがどこにあるのかを特定し、文字を正確に認識するために使用されます。
これにより、駐車場ゲートとの連動による入退管理業務の無人化や省人化、駐車場管理業者の課金システムとの連携などが期待できます。
車両の混雑状況・満空状況の把握
アノテーションによって育てられた車両検出AIと台数カウント・位置情報を連携することで、画像内の車両をマークし、車両の数や位置を正確に把握します。これにより、駐車場の混雑状況や満空状況をリアルタイムに把握し、車両の導線改善や誘導に役立てることができます。
侵入検知・接近検知の警告
接近検知は、特に工場や建設現場での安全管理に活用されます。接近しつつある障害物や人を検出し、作業員に警告を発するシステムです。映像データにアノテーションを施すことで、危険な状況をリアルタイムでモニタリングできるAIを構築し、事故を未然に防ぐことが可能です。
SK VMS+AI画像認識連動システム
製造ライン上の不良品特定
生産ライン上の製品の画像を撮影し、不良品を特定するためには、AIに正常な製品との違いを学習させる必要があります。アノテーションによって育てられたAIを活用し、正常な製品と不良品の画像を詳細に分類・記録することで、迅速かつ正確な検出を実現します。
不良品検知AIを活用した検品の効率化や精度向上
マーケティング
画像データのアノテーションを活用して消費者の行動分析が可能です。例えば、小売店内のカメラ映像から顧客の動きや商品の注目度を分析する際にアノテーションが利用されます。これにより、効果的な商品配置やプロモーション戦略を立てることができます。
アノテーションの注意点
精度の高いAIを完成させるためには、大量の教師データが必要となり、より高品質なデータの収集が精度の高いAIを完成させることにつながります。
アノテーションの品質を高めるには丁寧なアノテーション作業と大量に教師データを作る人員が必要です。
限られた期間のプロジェクトの場合、品質を求めすぎると工数がかかりすぎてしまい、作成するデータの量が少なくなってしまったり、データ量を多くするために効率を求めると精度が低くなる可能性があります。
アノテーションは、品質と生産性のバランスが重要であることに気をつけなければなりません。
アノテーションは地道な作業
アノテーションは、手作業で大量のデータを正確に処理しなければならず、とても地道な作業になります。工数を削減するためにもアノテーションツールを使用したり、代行サービスやオフショアなどを利用することが、社内の人材をより重要な作業へ集中させる効率的なやり方かもしれません。
システム・ケイでは、監視カメラとAIを活用して「どんなAIが作られるか?」でご紹介した実績が多く、世界最大級のデータ分析コンペティションプラットフォームである「kaggle」のkaggleマスターも在籍しております。業務の効率化・DXをご検討のお客様はシステム・ケイまでお気軽にご相談ください。
システム・ケイ社員がKaggleコンペティションにて金メダルを獲得
まとめ
- アノテーションとは高性能なAIを開発するために重要な工程である
- 高性能なAIを完成させるには丁寧なアノテーション作業と大量の教師データが必要
- アノテーションは地道で工数がかかる作業なので、より効率的に進められる形態をとることが重要
いかがだったでしょうか?
AI画像認識システムやネットワーク監視カメラの導入をご検討の際は、システム・ケイまでお気軽にご相談ください!