AXIS Object Analytics(物体分析機能)を使用した駐車場の満空表示システム
AIの知識
AXISの機械学習(MLPU)/ 深層学習(DLPU)対応カメラには、AXIS Object Analytics(物体分析機能)が標準搭載されており、映像内の人・車を検知して混雑状況を知らせることができます。
今回は、深層学習(DLPU)対応ネットワークカメラとAXIS Object Analytics(物体分析機能)の活用方法についてご紹介します。
AXIS Object Analytics(物体分析機能)とは?
AXIS Object Analytics(物体分析機能)とは、カメラに映った人や車両などの動く物体を自動で検知や分類、カウントを行うアプリケーションです。カメラ内の情報と合わせた多様な検知条件を設定することもできます。
カメラのみでAIが使える、AXIS Object Analytics機能とは?
駐車場の満空表示システム
AXIS Object Analytics(物体分析機能)の混雑検知を使用することで、映像上の車の台数をトリガーとしてイベントを発生させることができます。
今回ご紹介するのは、3台以上の車を検知するとネットワークI/Oリレーモジュールの接点をONにして、満車表示に切り替える設定です。
この設定を活用することで、簡易満空表示システムが低コストで実現できます。
処理の流れ
- ネットワークカメラの映像をAXIS Object Analytics(物体分析機能)が解析し、車両の検知・台数のカウントを行います。
- 設定値以上の車両を検知すると、ネットワークカメラで設定したイベントアクションが実行され、ネットワークI/OリレーモジュールへHTTPコマンドを送信します。
- ネットワークI/Oリレーモジュールに接続された満空表示灯がHTTPコマンドを受信し、表示が「空→満」に変わります。
使用機器
- ネットワークカメラ:AXIS P1467-LE Bullet Camera(FW ver:11.9.60)
- ネットワークI/Oリレーモジュール:AXIS A9161 Network I/O Relay Module
- 満空表示灯:LEDMANKU-01-YOKO
AXIS Object Analytics(物体分析機能)の動作検証
ミニカーを使用して、AXIS Object Analytics(物体分析機能)の動作検証を行いました。
今回使用したAXIS P1467-LEネットワークカメラは、深層学習(DLPU)対応カメラですので乗用車とトラックを識別して検出されました。ちなみに機械学習(MLPU)対応カメラの場合は、乗用車とトラックの区別はせず車両として検出されます。
※注意事項
- AXIS Object Analytics(物体分析機能)では画像処理により判定しているため、雨・雪など気象条件・照度の影響を受け、検出漏れ、誤検知が発生する可能性があります。
- カメラ設置条件・注意事項について、AXIS Object Analytics – ユーザーマニュアルより一部の注意事項を引用して記載します。注意事項の詳細は「AXIS Object Analytics – ユーザーマニュアルの検討事項」をご確認ください。
- 【設置条件1.取り付け位置】
上から見下ろすようにカメラを取り付けすると、アプリケーションによる物体の分類が難しくなります。 - 【設置条件2.チルト】
画像の中心が水平線より下になるように、カメラを十分に地面に向ける必要があります。 最小検知距離がカメラの取り付け高さの半分より長くなるようにカメラを取り付けます。
(最小検知距離>カメラの取り付け高さ/2) - 【設置条件3.物体サイズ】
人を検知するための最小の高さは、映像全体の高さの4%です。 車両を検知するための最小の高さは、映像全体の高さの3%です。 ただし、そのためには映像の要件をすべて満たしている必要があり、視野を遮るものがないものとします。 検知ミスの危険を最小限に抑えるために、この高さには人の場合は8%以上、車両の場合は6%以上をお勧めします。
- 【設置条件1.取り付け位置】
- 定義した範囲内に50個を超える物体がある場合にストロボサイレンを作動させる、MQTTを使用した設定例が「AXIS Object Analytics – ユーザーマニュアル」に記載されています。
(本記事ではMQTTTは使用せず、ネットワークカメラからネットワークリレーモジュールへHTTPコマンドを実行しています。)
複数のネットワークカメラの統合などが必要な場合には、MQTTブローカーを構築することで拡張性が増します。
設定手順
手順1:カメラ – AXIS Object Analytics(物体分析機能)設定
- Axisネットワークカメラで、AXIS Object Analytics(物体分析機能)を有効にします。
- AXIS Object Analytics(物体分析機能)で「Occupancy in area」シナリオを新規作成します。
- 検出対象のオブジェクトを指定します。(今回は「Car、Bus、Truck」を指定)
- 詳細設定画面から「Occupancy threshold」をONにし、満車表示を行う車の台数を入力します。
(今回は3台以上の車を検知したいので「3」と入力)
手順2:カメラ – イベント送信先
- 満車・空車時にネットワークリレーモジュールA9161の接点をON/OFFするイベント送信先を追加します。
区分 満車 空車 名前 A9161_MAN A9161_KUU タイプ HTTP URL *1 *2 http://192.168.0.100/axis-cgi/io/port.cgi?action=1%3A%2F http://192.168.0.100/axis-cgi/io/port.cgi?action=1%3A%5C アカウント ネットワークリレーモジュールのID パスワード ネットワークリレーモジュールのパスワード *1:「192.168.0.100」はネットワークリレーモジュールA9161のIPアドレスを指定します。
*2:「1%3A%2F」は「1:/」をURLエンコードしたもので、ネットワークリレーモジュールの出力端子1をONにします。
「1%3A%5C」は「1:\」をURLエンコードしたもので、ネットワークリレーモジュールの出力端子1をOFFにします。
手順3:カメラ – イベント
- 満車・空車のイベントを作成します。
区分 満車 空車 名前 AOA_MAN A9161_KUU この条件をトリガーとして使用する チェック イベント 「ObjectAnalytics:Senario 1 threshold alarm change」 この条件を逆にする OFF ON アクション 「HTTPで通知する」 パスワード A9161_MAN A9161_KUU 以上でネットワークカメラが車両台数を数え、表示灯で満車・空車表示の切り替えを行う設定が完了です。