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ディープラーニング(深層学習)とは?仕組みや種類、活用例を詳しく解説!

AIの知識

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皆さんは、ディープラーニングというものをご存知でしょうか?
深層学習とも呼ばれる、昨今話題のAIに関する技術の一つです。
今回はそんなディープラーニングについて、詳しく解説していきます!

ディープラーニング(深層学習)とは?仕組みや種類、活用例を詳しく解説!

ディープラーニング(深層学習)とは

「ディープラーニング」という言葉の位置づけ

仕組みを解説する前に、ディープラーニングという言葉の位置づけについて解説します。
ディープラーニングは、AI(人工知能)の一分野である機械学習の方法の中の一つです。
特に広く普及している生成系AIは、このディープラーニングの中に含まれます。

ディープラーニング(深層学習)とは

前提知識「ニューラルネットワーク」とは

ディープラーニングは、ニューラルネットワークの種類の一つです。
ニューラルネットワークとは、人間の脳の神経回路網を模倣した計算モデルのことです。
ニューロンと呼ばれる小さな計算ユニットが多数接続されたネットワークで構成されており、以下のような手順で学習しています。

①入力層: 外部のデータ(画像、音声など)を入力。
②隠れ層: 入力層から受け取った情報を処理し、より抽象的な特徴を抽出する。
③出力層: 隠れ層で得られた情報を基に、最終的な結果を出力する。

各ニューロンは、他のニューロンからの入力信号の強さに応じて、次のニューロンへの信号の強さを調整します。この調整を繰り返すことで、ネットワーク全体が学習し、複雑な問題を解けるようになります。
複雑なパターン認識が可能である点や、学習能力の高さ、多様な分野への応用が可能といった点から、人工知能の分野の中でも特に注目されている技術の一つです。

ディープラーニングの仕組み

ディープラーニングは、ニューラルネットワークを多層化することで、より複雑な特徴を抽出できるようにしたものです。

①入力層: 画像、音声、テキストなどのデータを数値に変換して入力。
②隠れ層: 入力層から受け取った情報を処理し、より抽象的な特徴を抽出する。この隠れ層が複数重なることで深層学習と呼ばれている。
③出力層: 隠れ層で得られた情報を基に、分類、回帰などの最終的な結果を出力する。

ディープラーニングの仕組み

ディープラーニングのモデルの種類

CNN(畳み込みニューラルネットワーク)

CNN(Convolutional Neural Network)は、画像認識分野において非常に高い性能を発揮するディープラーニングモデルの一種です。人間の視覚野の働きを模倣し、画像の特徴を効率的に抽出するように設計されています。
畳み込み層プーリング層という特徴的な構造を持つことで、画像の局所的な特徴を効率的に抽出し、様々な画像認識タスクに適用されています。

RNN(回帰型ニューラルネットワーク)

RNN(Recurrent Neural Network)は、時系列データやシーケンスデータの処理に特化したニューラルネットワークの一種です。文章や音声のように時間的な順序を持つデータに対して高い性能を発揮します。
RNNは通常のニューロンに加えて、隠れ状態と呼ばれるベクトルを持っており、中間層で行われた演算結果を再度その中間層に代入し、それを繰り返すことで同じ中間層が何度も使用され複数の中間層を持つことになります。

LSTM(Long Short Term Memory)

LSTMは、RNNを改良したものです。
通常のRNNは、時系列データの処理において、過去の情報をどれだけ記憶できるかに限界があり、特に長い時系列データになると過去の情報が薄れてしまい、正確な予測が難しくなる長期依存問題という課題がありました。
LSTMは、この長期依存問題を解決するために、セル状態と呼ばれる特別な構造を持ち、さらに以下の3つのゲートを持つことで過去の情報をより長く記憶できるように設計されています。

忘却ゲート: 過去の情報のうち、現在の出力に不要な情報を忘れる役割を担います。
入力ゲート: 新しい情報をセル状態に加えるかどうかを決定します。
出力ゲート: セル状態から、どの情報を次の隠れ状態や出力に渡すかを決定します。

これらのゲートが複雑に連携することで、LSTMは、過去の情報を適切に保持し、必要な情報を現在の出力に反映させることができます。

GAN(敵対的生成ネットワーク)

GANは、2つのニューラルネットワークが互いに競い合いながら学習する深層学習モデルです。この2つのネットワークは、確率の考え方を用いた生成モデル識別モデルと呼ばれます。

生成モデル: ランダムなノイズから、まるで本物のようなデータを生成しようとします。例えば、画像であれば、存在しない人物の顔写真や風景写真などを生成します。

識別モデル: 生成モデルが生成したデータが本物か偽物かを判別しようとします。

この2つのモデルが互いに競い合いながら学習することで、生成モデルはより本物らしいデータを生成できるようになり、識別モデルはより正確に本物と偽物を判別できるようになります。

ディープラーニングの学習方法の種類

特徴抽出

特徴抽出とは、画像、音声、テキストなどの生のデータから、学習モデルがそのデータを分類したり、予測したりするために必要な特徴を自動的に抽出するプロセスです。
従来の機械学習では、人間が事前にデータの特徴を考え、それを数値化してモデルに与える必要があり、人間がすべての重要な特徴を抽出することは非常に困難でした。

ディープラーニングでは、ニューラルネットワークが、大量のデータから自動的に重要な特徴を学習し表現することができます。これにより、人間が特徴を設計する手間を省き、より複雑なパターンを捉えられるようになったため、標準的な手法となりました。

転移学習

転移学習とは、あるタスクで学習済みのモデルを、別の(しかし関連性の高い)タスクに再利用する機械学習の手法です。特に、ディープラーニングにおいて、大規模なデータセットで事前学習されたモデルの知識を、より小規模なデータセットや新しいタスクに適用することで、学習効率を大幅に向上させることができます。

ゼロからモデルを学習するよりも学習時間を大幅に短縮でき、大量のデータが必要なディープラーニングにおいて、少ないデータで高性能なモデルを構築することができます。さらに事前学習されたモデルは一般的に高い特徴抽出能力を持っているため、転移学習によって新しいタスクの性能を向上させることができます。

ゼロから学習

ゼロから学習させる場合、何も学習されていない状態のモデルを用意し、タスクに併せて必要な情報を学習させていきます。
ゼロから学習させるメリットとしては、特定の分野に特化したモデルを生成できる点や、既存のモデルでは上手く適用しない場合に有効です。
しかしその分、タスクに合わせた膨大な学習データを用意しなければなりません。

ディープラーニングでできること

画像認識

ディープラーニングを用いた画像認識では、以下のようなことができます。

  • 物体認識: 画像の中に何が写っているかを特定します。例えば、画像の中に猫、犬、車などが写っているかどうかを判別できます。
  • 顔認識: 人間の顔を検出し、個人を特定したり、表情を読み取ったりすることができます。
  • 画像分類: 画像全体の内容を分類します。例えば、風景写真、人物写真、動物写真などに分類できます。
  • 物体検出: 画像の中に複数の物体が存在する場合、それぞれの物体の位置と種類を特定します。
  • 画像セグメンテーション: 画像内の各ピクセルに、それが属する物体のラベルを割り当てます。
  • 画像生成: 既存の画像から新しい画像を生成したり、特定のスタイルの画像を生成したりすることができます。

顔認識の画像

音声認識

ディープラーニングでは画像のみならず、音声認識の分野でも活用することができます。

  • 音声テキスト化: 音声を文字に起こすことで、会議の議事録作成や字幕生成など、様々な業務効率化に繋がります。
  • 音声コマンド: スマートスピーカーやカーナビなど、音声による操作を可能にします。
  • 音声検索: 音声で検索することで、より自然なインターフェースを実現します。
  • 音声感情分析: 音声から感情を推定し、カスタマーサポートやマーケティングに活用できます。
  • 音声合成: テキストから自然な音声を作成し、音声アシスタントやナレーションなどに利用できます。

自然言語処理

ディープラーニングでは、従来の統計的手法では難しかった複雑な言語構造や文脈を理解し、より人間らしい自然な対話や情報処理が可能になっています。

  • 機械翻訳: 高品質な機械翻訳を実現し、言語の壁を越えたコミュニケーションを促進します。
  • 文章要約: 長文を短くまとめたり、重要な情報を抽出したりすることができます。
  • 感情分析: テキストから感情(喜び、悲しみ、怒りなど)を推定し、顧客の意見分析や感情認識に活用できます。
  • 質問応答システム: 質問に対して適切な回答を生成し、チャットボットやFAQシステムなどに利用できます。
  • 文章生成: 文章を自動生成し、クリエイティブなコンテンツ作成や文章校正に役立ちます。
  • 対話システム: 人間と自然な対話を実現し、カスタマーサポートや教育分野での応用が期待されます。

異常検知

ディープラーニングは、画像認識や自然言語処理だけでなく、異常検知の分野でも大きな力を発揮しています。
正常なデータの特徴を学習し、新しいデータが入力された際にそのデータが正常なデータからどれだけ外れているかを評価することで異常を検出します。

これにより、従来の統計的手法では検出が難しかった複雑なパターンや、大量のデータから微細な異常を検出できるようになったことで、様々な分野で活用されています。

ディープラーニングの活用例

車両ナンバー認識システム

車両ナンバー認識システムとは、ナンバープレートを映像から読み取り、文字および数字をテキストデータ化するシステムです。学習するほど精度が向上します。物流業界におけるコンテナの管理番号を認識することも可能です。

顔認識

ディープラーニングによる顔認識は、従来の技術よりも高い精度で顔を認識できるようになり、様々な角度や表情、照明条件下での顔にも対応できるため、あらゆる場面で利用されています。
例としては、スマートフォン等の本人認証や、監視カメラでの犯罪捜査や迷子発見オフィス等への入退室管理です。

機械翻訳

ディープラーニングによる機械翻訳は、従来の統計ベースの機械翻訳に比べ、より自然で高品質な翻訳が可能になりました。
顧客対応の場面では、多様な言語で顧客に対応できるチャットボットやカスタマーサポートシステムの構築に利用されています。
他にも、観光客が現地語を理解できない場合、翻訳アプリを利用してコミュニケーションを取ることができます。

画像生成

ディープラーニングの発展により、既存の様々な画像を読み込み混ぜ合わせることで、高品質な画像生成が可能になりました。
アニメやゲームのイラストであったり、製品開発の際に新しい形や形状の最適化を検討する際に利用されています。

AIによって生成されたイラスト
AIによって生成されたイラスト

ディープラーニングの注意点

膨大な学習データを要する

ディープラーニングには、膨大な量の学習データが欠かせません。これには、ニューラルネットワークの複雑さや、特徴量の自動抽出に必要なためです。
そしてその学習データも、量だけではなく質が求められたり、データの前処理が必要になります。

ブラックボックス問題

ディープラーニングは、様々な分野で高い精度を示してくれる一方で、「なぜその答えが出たのか」の理解が難しいというブラックボックス問題を抱えています。
これにより、信憑性への疑問や、重要な意思決定にAIを用いた際の説明責任、自動車など安全性が求められるシステムで利用する際のリスクが問題となっています。

破局的忘却

ディープラーニングにおいて、新たなタスクを学習させる際に、過去の学習内容を忘れてしまう現象を、破局的忘却といいます。
常に新しいデータを学習し、モデルを成長させていく継続学習においては大きな弊害となり、 新しいタスクを学習する際に、過去のタスクの性能が大幅に低下してしまうことがあります。
さらには、モデルが何を学習しているのかが不明確になり、モデルの信頼性が低下してしまいます。

まとめ

  • ディープラーニングとはAIの機械学習の方法の一つ
  • 入力したデータから特徴を抽出し、それを繰り返し行うことで精度を向上させるもの
  • 利用できる用途は多岐にわたる反面、まだ発展途上の技術であり課題も多く存在する

いかがだったでしょうか?
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