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バードストライク検知システムの開発 日本気象協会様

導入事例

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鳥検知によるバードストライク検知システムの開発 日本気象協会様

日本気象協会様のご紹介

日本気象協会様は、1950年に設立され、私たちに身近な日々の気象情報や季節情報、防災情報などのビッグデータを提供しています。さらにエネルギーマネジメント事業と言った、風力発電の設置による環境の影響調査やコンサルティング(環境アセスメント)において、国内トップシェアを誇っています。

風車のバードストライク問題

バードストライクとは?

鳥が航空機などの人工物に衝突してしまう事故を指し、政府も問題提起と対策を挙げています。
■航空機への鳥衝突(バードストライク)防止に向けた取組

航空機の場合、年間1,000件を超える事故が発生しており、ワシやタカの大型の鳥がエンジンに吸い込まれると、エンジンの損傷や停止、緊急着陸の原因や重大な事故につながる可能性があります。
また、修理費などの年間被害額は数億円にものぼると言われています。
風力発電の風車の場合、風車の羽の部分(ブレード)に鳥が衝突する事故が発生しています。
風車の機器に影響はありませんが、野生生物保護の観点から、猛禽類をはじめとした鳥類の衝突を懸念する声があります。
■風力発電施設に係るバードストライク防止策 | 自然環境・生物多様性 | 環境省 (env.go.jp)

―導入のきっかけを教えてください。

昨今、風力発電所の風車の羽の部分(ブレード)に鳥が衝突するバードストライクが問題になっており、発電事業者はその実態を調査することが求められます。そこで、弊社ではカメラを活用した遠隔監視のシステムを開発することにしたのですが、精度を担保したうえで効率的に検知する方法がないか貴社にご相談しました。

課題となったのが、海上に設置されている洋上風力発電のバードストライクの検知でした。
陸上に設置されている風力発電所の場合は、車で近くまで行き、周囲から風力発電所上空を目視にて調査する「生息状況調査」と風車の直下を踏査する「死骸調査」を行いますが、洋上風力発電においては、陸上の風車と比べ以下の理由により調査が困難でした。

  • 陸から目視できない距離にあるため、船で風車に近づかなければならず、コストが余計にかかる
  • 悪天候時はアクセスが安定せず、観測可能な天気に偏りが生じ、データの質が安定しない
  • バードストライク後の鳥の死骸が海に落ちるため、流されて正確なカウントができない

バードストライク検知システムとは?

日本気象協会様の「バードストライク検知システム」は、赤外線カメラで風車のブレードを撮影し、鳥類のバードストライクが発生したかどうかを監視するシステムです。
システム・ケイはこのシステムの中で、AIと赤外線カメラ(サーマルカメラ)を使用した監視システムを構築しました。赤外線カメラ(サーマルカメラ)で撮影し、AIで鳥を検知すると、SK VMS(映像管理システム)のサーバーに映像が録画され、検出結果(CSV形式)が管理PCに自動保管されます。

バードストライク検知システム

AIが飛翔体を検知した画面

バードストライク検知システムの特長

  • 目視調査が難しい海上でも、24時間365日、夜間も遠隔監視が可能である
  • AI(ディープラーニング)技術により、バードストライクをチェックする作業を省力化できる
  • 蓄積された画像を使って、精度を向上しながら鳥を自動検知することができる
  • 鳥を検知後、検知時の画像を保存できる

バードストライク検知拠点構成

バードストライク検知システム構成図

■SK VMS トップページ
■NVR708AI 製品ページ

―システム・ケイへお問い合わせいただいた理由を教えてください。

ネットワークカメラ、VMS(映像監視システム)などの周辺機器に精通しており、システム全体の設計に長けていることも大きかったです。
例えば、「24時間365日カメラ映像を保存すると膨大な容量が必要になるので、鳥を検知した時間の動画だけを確認できるような仕組みにしたい」や「報告に必要な項目をCSVファイルにダウンロードし報告できるようにしたい」など、実施したいことの一連のシステムをご相談できました。
また、自動車を検知するなどの、監視およびAI判別の実績が多くあることも理由の一つでした。
■【AIサイト】車両検知によって実現できること

―導入して良かった点を教えてください。

AIの開発に関して、飛翔体の検知漏れの精度が不安でしたが、貴社の丁寧な対応により改善されました。AIサーバシステムの駆動状況を把握することを容易にするプログラムも加えていただけました。
録画システム(VMS)とAIプログラム間の橋渡しも分かりやすい構造となっており、社内での作業改良が容易に進みました。貴社の開発によって、バードストライク監視という膨大な作業を要するシステムをAIを含むIT技術によって発展させることができました。

―今後の課題はありますか?

今後は以下のことを実現できるように開発を検討しています。

  • 検知した鳥類の種の判別
  • 警戒音発報との連携
  • 風車制御との連携

まとめ

  • 日本気象協会様の、バードストライク検知システムの開発に携わりました。
  • バードストライク検知システムは、赤外線カメラ(サーマルカメラ)とAIによって、洋上風力発電機周辺の鳥類の飛翔状況を24時間、遠隔監視できます。
  • 鳥を検知後、調査データをCSVファイルで速やかに報告できます。

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